2008年03月

2008年03月10日

母 おんな歌

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ひとつとせ ひと夜ゆめ見た残影はきらめく朝の泥濘の中


ふたつとせ ふりむかないと決意して眠りさめない砂に足跡


みっつとせ 見つめあってる黒目にはおんなとう名の影うつりおり


よっつとせ 酔えないままに更ける夜はゆびさき見つめ何を問うてる


いつつとせ 泉わき出る渓谷の宵待草を照らす満月


むっつとせ むきになれずにへしゃげてる傷口を縫う糸をください


ななつとせ 泣いていいよと背中(せな)を押す蝉はひと夏鳴くため生きる


やっつとせ 焼いてしまえともがいてる19の夏の黒い太陽


ここのつとせ こころ閉ざしたヒメジオンやさしくつつむ風になるから


とうとせ 遠回りしてやっといま自分探しの旅が始まる


at 19:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

染色体


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ひとつだけ染色体がおおいからぼくはみんなとがっこういけへん


ダウン児の手をひく母が二百歳(200)まで生きたるねんと見あげてる空


三角を描けぬ子ども とんがったこころ知らずにまんまるばかり


しあわせを運ぶ四葉のクローバー 繰りかえし読む「じぷた」にはさむ


at 19:42|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

東京オフ会

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大空を駆ける電波に導かれ東京駅へおろす右足


まっすぐに歩けぬ街は真四角できゅうくつそうな真昼の太陽


少しだけはにかむように目が合ってひらべったかった文字がふくらむ


何回も何回も撮るこの瞬間(とき)をまるめてぎゅっと詰め込みたくて


散らばった星の破片を指さきでつなぎあわせた新宿の夜


ほどけない荷物そのまま君の声こぼれて消えてなくなりそうで


at 19:37|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

『冬のさよなら』


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その腕に触れるためだけひたすらに朝の見えない電車で走る


雪雲のひろがる空が重たくてうつむくばかり さざんかの花


凍りつく息をぱりぱり吐きながら誰かの言葉みたいに「さよなら」


これでいい 今日からひとりぼっちでも心まっすぐつららみたいに


at 19:34|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

『心の冬』

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大切にしていた奇形らんちゅうが死んでしまった リスカの理由


ゆっさゆさとまらぬ震え もう食べちゃダメだから吐く食パン一斤


「見ないで!」と叫ぶその瞳(め)に宿りたる別の人格冷たく笑う


うんうんと頷きながらじっと待つこころの在り処に帰り着くまで


わたくしの役割は何?触れていた指の先には君のぬくもり



at 19:31|PermalinkComments(0)TrackBack(0)