2009年09月02日

海蛍

スリッパの左右ぴったり廻りあう淡い夕暮れ風車がまわる

霜月の雨は音楽室の香りして遠いあの日に巻き戻しする

ひそやかに君おもうとき満ちてくる朝やけ色のやわらかな海

行く先のない航海に出る決意ベートーベンに導かれつつ

この先に何を描こう出発(たびだち)の朝にひらいた大学ノート

最終の電車見送りゆっくりと序章のページをひらく十六夜




深く深く刻みこむため抱きしめた肩の向こうにほらながれ星

みつばちの羽音のような声あげて洗いざらしの綿シャツを脱ぐ

やわらかく重ねあわせた手のひらの余韻かすかに一日(ひとひ)を過ごす




ゆうやけと夜が交錯する空はどっちつかずの心の調べ

奪いたくなる夜 ふかくブレスして水玉もようの空をみあげる

会いたいの文字をまた消しやさしさは哀しみの中にあると思えり

ゆうやけはやさしさのいろはきそうなかなしみさえもゆるせてしまう

しあわせになろうとかわすゆびきりをひらけばぽとり線香花火

愛しぬく決意できずに紫陽花は塀の向こうの世界を覗く

ふわふわの時をかさねて愛という不確かなものスラーでむすぶ



やぶられるための約束くりかえし明日死のうと思いつつ今日

まっ白なワンピースの裾ほつれたる糸ちぎってもちぎっても 未練

つめくさの冠を編む肩越しにとても孤独な夏風が吹く

あさがおの見つめる地面ゆく蟻も知っているのか秋の空色




またねってぎゅっと笑って空見あげ涙そのままこぼさぬように







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2009年08月16日

047:警(やや)再投稿




まだ解除されぬのだろう警報が胸内に咲くすずらん揺らす









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046:常識(やや)




さみしいの反対言葉が見つからず常識はずれの夢ばかり追う





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